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安価な車載用インバータは役に立たない

アウトドアだけでなく、震災に備えるためにも「車載用インバータ」の購入を考えている人も多いと思います。一見、対応電圧(12V or 24V)と定格出力(対応消費電力)だけを見れば良さそうですが、実は意外な盲点があります。

それが「波形」

既に車載用インバータを持っている方は、適正な定格出力(対応消費電力)なのに、「ほとんどの家電が使えなかったorz」なんてことはありませんか?ここでは、多くの人が見落としている盲点を書きます。

 

車載用インバータとは

まず初めに、電気には「直流」と「交流」の2種類があります。一般家庭用コンセントは交流(AC)100Vとなっていて、テレビや照明、パソコンなどのさまざまな家電製品を使うことができます。それに対して自動車のバッテリは直流(DC)12/24Vなので、車のシガーソケット(アクセサリーソケット)をコンセントの形に変えただけでは使用することができません。そこで、直流を交流に変換することのできる機械が「インバータ」です。「車載用インバータ」は自動車専用設計で、シガーソケットに挿すことで、DC12/24V電源をAC100V電源に変換し、車の中でも家庭用電化製品を利用できるようにします。

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緑線の波形(DC)を青線の波形(AC)にするのが「インバータ」

 

多くの人が気づかない盲点「波形」

多くの人が気付いていないのが「車載用インバータで変換された電気の波形」。これが製品によって極端に違うんですが、どれもパッケージには「AC100 50/60Hz」と書かれているので、家庭用コンセントと同じだと思って買います。そして、いざ使う時に「何で動かないの?(-_-;)」となります。私もそうなった中の1人ですorz

実は、家電品は「AC100V 50/60Hzの『正弦波』」で駆動します。家庭のコンセントには、常に安定した滑らかな波形を描く正弦波の電気が来ています。多くの家電は電気の波形を利用して制御しているので、この安定した滑らかな曲線を描く電気以外だと混乱してしまい、使えないのです。車載用インバータは、元々ずっと一定の直流を波のある交流に変換するので、その性能(能力)が製品によって顕著に現れます。変換された時の波形は主に2種類あり、一般家庭のコンセントと同じで規則正しい「正弦波(せいげんは)」、それを簡易的に真似たものが「矩形波(くけいは)」です。矩形波の中でも正弦波に近いものは「擬似正弦波(ぎじせいげんは)」と言いますが、実際のところは全て矩形波の一種です。パッケージや仕様表に表記が無い製品はほぼ確実に矩形波ですし、分かりにくくさせるために擬似正弦波を「修正派」などの違う名称を使うメーカーもありますが、『正弦波』と書かれている製品以外はメーカーが何と呼ぼうと矩形波の一種です。

 

この違いが価格差の理由ともなります。ほとんどの場合、安価な製品は矩形波、ちょっと高価な商品は擬似矩形波、非常に高価な製品は正弦波です。上の図のように、滑らかな曲線を描く正弦波に近づけようとするほど、多くの高性能な部品を使います。矩形波なら+100V,-100V,+100V,-100Vと、スイッチのように単純に切り替えるだけなので非常に安く作れます。一方で、正弦波は非常に滑らかな波になっています。アナログのボリュームダイヤルのように、+100V~1V,±0V,-1V~-100Vと非常に滑らかに動きます。実際には整数では表せない細かさです。これを常にコンセントと同じ感覚になるようにするために、きめ細かな制御が必要なので、高性能な部品を組み込んで高価になります。

皆さんもよく使う炊飯器やテレビ、照明器具などの家電は、規則正しい波形の電気が来ることで規則正しく動く設計の精密機器なので、ボコボコの波になっている矩形波のインバータや、カクカクの擬似正弦波では使用できません。使用できたとしても、想定外の誤作動を引き起こしたり、機器の寿命を縮めたり、照明ならチラつき発生してしまい健康にも良くありません。

以上の事から、震災などで停電になった時、安価な車載用インバータは役に立たない場合が多いのでオススメ出来ません。 

 

買うならココをチェック

・対応電圧

ガソリン車の多くは12Vで、ディーゼル車の多くは24Vですが、エンジンがかかっている場合は上記より少し高い電圧となります。車種によっては極端に変動するものがあるので、クルマの取扱説明書を見たり、ディーラで確認しておきましょう。それから車載用インバータの対応できる動作範囲電圧を確認して、絞り込んで下さい。

 

・波形

単にAC100V 50/60Hzに騙されないでください。予算と使用する機器を想定して、正弦波、擬似正弦波、矩形波と選んでください。身近に車載用インバータの利用者が居れば借りて、どの家電が使えるのかテストするのがオススメです。

矩形波の製品は非常に安価です。スマホやPC、ゲーム機などの充電であればほとんどの場合で利用できます。それらは充電器の中に、更に電流を変換する部品が入っているからです。充電以外の用途では、使える機器はかなり少ないです。

擬似正弦波の製品はやや高価です。その代わり、単なる矩形波の製品よりも使用できる家電の種類は増えます。ただし、使えても動作は不安定な場合も多々あります。時々電源が切れる等。

正弦波の製品は非常に高価です。しかし、定格出力に対応できる一般家庭にある家電はほぼ全て利用できます。

 ※医療用機器などの極端な精密機器の場合、市販されているインバータでは基本的に対応できません。

 

・定格出力

同時に利用できる消費電力(W)には上限があります。定格出力は、安定して供給できる電力量です。例えば、最大300Wと書かれている場合は、それは対応できる瞬間最大消費電力で、通常は200Wまでなどの製品も多くあります。また、500Wまでと書いてあっても、シガーソケットからの供給では150Wまでで、それ以上の場合はバッテリと直結というインバータも多くあります。これは車にある過電流を防ぐヒューズが切れないようにするためです。使用機器を予想して、利用可能な消費電力を必ず確認しましょう。

 

・安全装置

メーカーや機種によってさまざまな保護機能がついている製品があります。低電圧・高電圧時のバッテリ保護、消費電力が多すぎる場合の制御、ショート(短絡)保護機能、高温時保護、接続間違い時制御など。少し値段は張りますが、保護機能が無い場合は、バッテリが上がったり、酷い場合には感電や発火の可能性もあり、死亡事故につながる恐れがあるので保護機能は絶対にあった方が良いです。 

 

「正弦波」のインバータはこちら

「擬似正弦波」のインバータはこちら

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